2017年夏、Selenium、ヘッドレスブラウザ」の続き。 ServiceNowアプリケーションのブラウザテストをしたくて色々調べている。 前回は、Selenium(WebDriver)とChromeのヘッドレスモードを使うのがよさそうというところまで書いた。

この記事では、ブラウザテストフレームワークを選ぶ。

ブラウザ操作ツールとかブラウザテストフレームワークとか

Seleniumを直接使って、JUnitなんかのテストフレームワークでブラウザテストを書くこともできるけど、それは結構つらい。 Seleniumは低レベルなブラウザ操作APIを提供するので、単純にテスト書き辛いし、動的サイトを扱うときには、かなり気を使ってwait処理を入れていかないとテストが安定しない。 テスト前に、WebDriverの準備をしないといけなかったりするのも面倒。

なので、昨今はもう少し高級なツールやフレームワークを使うのが普通な模様。 あまり知らなかったので色々記事を読んだ。


結果、ブラウザ操作ツールやブラウザテストフレームワークには以下のようなものがあることが分かった。 (SeleniumやWebDriver系じゃないのも含む。)


  • Nightwatch.js

    GitHubの★は6835。

    JavaScriptでブラウザテストを書けるフレームワーク。 WebDriverプロトコルに対応していて、Seleniumと異なる独自のクライアントAPIを実装。 つまり使えるブラウザの幅が広い。

    テストフレームワークは独自のもの。

  • WebdriverIO

    GitHubの★は3217。

    JavaScriptでブラウザを操作できるツール。 WebDriverプロトコルに対応していて、Seleniumと異なる独自のクライアントAPI(ラッパ?)を実装。 つまり使えるブラウザの幅が広い。

    独自のテストランナであるWDIO付きで、テストフレームワークにMochaJasmineCucumberなど、いろいろ利用できる。

  • Protractor

    GitHubの★は6801。

    JavaScriptでブラウザテストを書けるフレームワーク。 WebDriverプロトコルに対応していて、selenium-webdriverをラップしたAPIを提供する。 WebDriverなのでブラウザはなんでも。

    テストフレームワークは、Jasmine、Mocha、Cucumberのほか、いろいろ選べる模様。

    AngularとAngularJS向けだけどそれ以外にも使える。 Google製なので信頼感があるし、ドキュメントもコミュニティもしっかりしてる。

  • Casper.js

    GitHubの★は6337。

    JavaScriptでブラウザテストを書けるフレームワーク。 使えるブラウザはPhantomJSSlimerJSだけで、多分WebDriver使ってない。

    テストフレームワークは独自のもの。

  • Nightmare

    GitHubの★は12964。

    JavaScriptでブラウザを操作できるツール。 ブラウザは、昔の1系はPhantomJSを使ってたけど、今の2系はElectron。 WebDriverは使ってないはず。

    テストフレームワーク機能は付いてないけど、同じ作者のNiffyというNightmareベースのツールがちょっとそれっぽい。

  • TestCafe

    GitHubの★は3029。

    JavaScriptでブラウザテストを書けるフレームワーク。 すごい多機能っぽいし、TypeScriptやasync/awaitをサポートしててなんかモダン。 WebDriverは使ってないっぽいけど、Chrome、Firefox、IE、Edge、Safariなど、一通りのブラウザが使える。 なぜかリモートテストもできる。

    どうもSelenium 1みたいにJavaScriptコードを挿入してテスト実行するらしいんだけど、よくわからない。

  • Zombie.js

    GitHubの★は4608。

    JavaScriptでjsdomを操作できるツール。 なぜか妙にアサーション機能に凝っている。

    WebDriverは使ってないはず。

  • Puppeteer

    GitHubの★は29068。

    ChromeをDevToolsプロトコルで操作するJavaScript(Node)ライブラリ。

    Chrome開発チームが開発している。

    WebDriverは使ってない。

  • Chromy

    GitHubの★は294。

    JavaScriptでChromeを操作できるツール。 chrome-remote-interfaceをラップして、 NightmareっぽいAPIを提供する。

    WebDriverは使ってない。

  • Codeception

    GitHubの★は2900。

    PHPUnitとSeleniumをラップして、ユーザ視点のブラウザテスト(受入テスト)をPHPで書けるフレームワーク。

  • Capybara

    GitHubの★は7937。

    Seleniumをラップして、ブラウザテスト(受入テスト)をRubyで書けるフレームワーク。 テストフレームワークはRack::Testを始め、いろいろ選べる模様。

  • Geb

    GitHubの★は759。

    Seleniumをラップして、 JUnitやTestNGと連携して、ブラウザテストをGroovyで書けるフレームワーク。

  • Selenide

    GitHubの★は555。

    Seleniumをラップして、ブラウザテストをJavaで書けるフレームワーク。


これらよりさらに高級なツールに、CodeceptJSというのがあって、これはJavaScriptでユーザ視点のブラウザテスト(受入テスト)を書けるフレームワーク。 基本的にはMochaとWebdriverIOをラップして、より抽象的なAPIを提供する。 WebdriverIOをProtractorとかNightmareとかAppiumに代えられて、色んな環境のテストが統一的なAPIで書ける。 すごいけどバグを踏んだ時辛そう。

また、ブラウザテストの文脈でよく名前が出るKarmaは、テストフレームワークではなくて、HTTPサーバを起動して、テストを実行するためのHTMLを生成して、ブラウザを起動してそれを読み込んでくれたりするツール(i.e. テストランナ)。 主にユニットテストを色んなブラウザで実行するためのもので、ServiceNowのようなSaaSのテストには使えないはず。


どれを使うか。

ServiceNowアプリの開発がJavaScriptなので、テストもJavaScriptで書いてユニバーサルな感じにしたい。 のでCodeceptionとCapybaraとGebとSelenideは無し。

テストのリモート実行やクロスブラウザテストを見据えてWebDriver使ってたほうがよさそうなので、 NightmareとCasper.jsとZombie.jsとPuppeteerとChromyも無し。

TestCafeはWebDriverにこだわらなければよさそうだけど、今回はWebDriverで行きたい気分なのでパス。

Protractorはよさそうだったけど、Angularで開発してるわけではないので、利用するのはちょっと違和感が。

Nightwatch.jsは、全部メソッドチェーンでつなげる形で書くので、ブラウザ操作とアサーションがごっちゃになるのがちょっと見にくそう。 テストフレームワークは自分の好みで選びたい。

ということで残ったのがWebdriverIO。 ややドキュメントが少なそうなのと、★が比較的少ないのが懸念。 ProtractorかNightwatch.jsにしとけばよかったってなりそうではある。

むしろクロスブラウザを捨ててPuppeteerでもよかったかな…


WebdriverIOの環境を構築した記事を書いた。